しつこいやっちゃの釣り


鹿児島県の某釣師のHPを見ていたら、

その人が毎年、兵庫県の渓へ釣りに来られるとあった。

この方のHPを拝見してると、兎に角、一尾と持ち帰らないように

書かれている。

それほどの釣り人がなぜ、兵庫県まで遠路はるばる

遠征されるのか?・・・・

そのことが妙に気掛かりで、こりゃ一度行かねばなるまいと

思っていた。

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Bさんの工房へは週に一回は顔を出すのが癖だ。

行けばソファにひっくり返って釣り談義ばかりで、

彼にとっては仕事の邪魔ばかりしおって!

という存在に成り果てているGinjiroである。

この話をBさんにしたのはもう、一月半ほどまえになろうか。

納竿日を間近に控えて、さて、ここへいつ行こうかという

ことから、10月の比較的早い時期が良いのでは?

ってことで落ち着いた。

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相変わらずの晴天が続く高松地方。アメが少ないのに魚釣りなどしていて

良いのか?いんや〜良いのぢゃ。と

港を出る。先週は直島行ったばかりだのに、またぞろ、海へ出てしまった。

仕事で魚獲る人たちも重油が高いので湾内で手っ取り早く操業だ。

オイラは手間暇掛けて遊びの操業だ。申し訳なさが心を痛める。

瀬戸大橋を越えるは時間とお金がもったいないから、宇高フェリーってのに

乗って、宇野港へ上陸して、直ちに備前方面へ向かう。

なんだか、みちが良く判らないこともあって、途中高速に乗ったり降りたりしながら、

兵庫県の山中を目指して走ること3時間ちかく。

途中で、有名なSpring 8のある播磨科学公園都市ってところへ出てしまった。

まるで日本離れしているのは、その広い空間ばかりでなく、

ポプラ並木やカリフォルニアに沢山生えているような樹木が

ビッシリと生え揃っていて、人影も少なく、ここは日本かいな?

と思わせる風情が漂っているからだ。

ちょっと、解説すると、Spring 8ってのは、

Super Photon Ring 8GeVの略で、なにもバネがあるからぢゃない。

1kmほどの直線加速器で加速された電子を甲子園球場でもスッポリ

収まるほどのドーナツ状の円形加速器で、8GeVまで早くする。

この時点で、電子はほぼ光速まで加速されている。

電子の流れに磁界を掛けると、電子は曲がって行くが、

曲がらないで本来進む筈だった方向に向かって強烈な放射光を放つ。

この放射光は様々な波長の成分をもっていて、

必要な波長の収束性のよい光を取り出して、

解析対象となる物質に放射することで、

物質の原子レベルの大きさの干渉縞を作り出して

当該物質の成分を分析することなどが出来るらしい。

和歌山毒カレー事件の砒素に含まれていた不純物の

成分分析から、この事件に関与した数箇所から検出された

砒素が、殆ど同一と見られる不純物を含んでいたことから

同じ砒素であることが推測されたことは、耳目に新しい。

北朝鮮から横田めぐみさんの遺骨と言われたものも、

実は怪しいものであることが分析された。

とにかく、オイラには良く判らないが途轍もなく偉い装置が

このSpring 8らしいのだ。

この装置を利用する企業やら、研究機関やら、

なにやらが、この公園都市には設置されていて、

それでもって、なんだか神がかった雰囲気が

漂っていたのかもしれない。

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話は戻って、そこは佐用郡というところだったのだが、そこから

千種川という鮎の川をどんどん遡って行くと、

三室渓谷というのがある。

渓の美しさと言う点では、そりゃ祖谷川なんかには勝てないが、

そこそこ渓流魚が居そうな雰囲気はあった。

中国山地の風情がある。

車を停めて、川をのぞく。

宿に着いたら早速の釣り支度をして、渓を覗きに出掛けた。

ここは、お客の居るところに、バケツでドバ〜っと魚を入れるとあって、

気分は幻滅だが、まぁ仕方が無いのだろうか・・・

魚を放流してもしなくても、一日の入川料は取られるので、悔しいが

放流してもらう。アマゴと岩魚の放流だ。

しばらくは、釣れるのだが、小一時間も経つと、賢いヤツは擦れてきて

餌には見向きもしなくなるから不思議だ。

何を持って餌だけと、ハリ付きの餌を見分けてるのだろうか?

Bさんもガンガン釣った。オイラは腕が悪いのか餌が悪いのか、

午後3時半ころから暗くなるまで釣って僅か8尾しか掛からなかった。

色々聞いてみると、やはり餌が悪かったようだ。

足元が覚束なくなるほどの暗がりが広がったので今日はや〜めた。

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風呂に入ってから鴨鍋を突付きながら、岩魚の刺身と

岩魚の骨酒を3杯ほど飲んで、ぐっすり眠った。

岩魚の骨酒は、まっこと美味い。今度じぶんでやってみよ。

 

翌朝は5時に起きて、今日は真面目に釣るぞ!!

この日は50ほど釣ったが、いずれも放流魚だった。

やはり、上等な餌だとちゃ〜んと掛かることがわかりました。

悔しいから、もっともっと上流の放流して無い場所を目指すことにした。

この辺まで来ると、いつもの渓の雰囲気になってきた。

これからもすこし上流を杉林とブッシュを掻き分けて探っていった。

ブッシュの陰に良い雰囲気の落ち込みがあった。

その僅か上へ運試しで仕掛けを放り込むと、鋭い小物のアタリ!

いるぢゃないか?

で、本命の落ち込みにそっと流すと、仕掛けが止まった!

あれ、合わせても動かない。また大地釣りか〜と思ってたら

ゴソリと動く、こいつは大物だ!

次の瞬間・・・ブチッとリリアンの根元から仕掛けが飛んでいた。

くそ〜。今年初めての尺アマゴになるはずだったのに。

気を取り直して、さらに上流へ這いこむと、ここにも

小岩が緑の枝の下に清流を受け止めていた。

遠くから、枝に掛からないように仕掛けを振り込んだ。

瞬間、強い引きとともに水面を割って黄色い魚体が

跳ね上がった。でかい岩魚だ!!

コイツも、首を振って逃げた。

もういやんなっちゃうよ。

いったん、外した魚はまず出ない。

トボトボと上流へ。

ここは二又の左支流が岩を裂いて、落ち込んでいた。

岩陰の魚とは目が合わないようにして、仕掛けを放り込むと

やがて、ゴツンと当たって、18cmくらいのチビ岩魚が掛かった。

とまぁ、こんな感じの渓でした。

それにしても、往生際の悪い、しつこい釣りをしたものであります。

帰りの船からは港町に掛かる月が綺麗でした。

ああ、本当に秋だなぁ

釣りが終ったら何しよう?

そうだ!

ゲェジュツの秋だ。


2008年10月20日 月曜日

 

 

 

   
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