初めての渓


自分にとって、初めての渓というのは実に多いのだが、この渓は有名すぎて敷居が高く、なんとなく来たことが無かったのである。

I さんが家の前に到着したのは朝4時前だった。彼も夕べは興奮して(?)寝られず2時に起きていたと言うから気合が入ってるではないか。 

2時間ちょっとで、上流域に達したがポイントごとに車が停まっている。やはり土曜日の釣りともなると、釣師は金曜日の夜から現場に泊り込むのが定石らしい。仕方が無いので、もっと下流から釣り上がることにした。

流石に美しい谷だ。こういう景色に出会うとその日一日、なんだか幸福感に浸れる。

水量は多いそうだが、餌釣りには丁度良いように思えた。実際のところ、ここのチャラ瀬で、初めて掛かったのが岩魚だったので驚いた。この日は、岩魚が二尾掛かった。

テンカラ師匠が後ろから余裕をもって迫ってくるので、焦りを感じてしまうなぁ。てなこと思いながらもシャッターを切りたい。

いつものことながら、最後は追い抜かれて、後は追いついていくだけで精一杯になってしまう。どこのお師匠さんと歩いてもいつも、いつもこうなるのだ。川の見方、魚の着き場、ポイントの見抜き方で遡行速度に圧倒的な差が出てしまうのだ。

で、ふてくされてやるのが、こういうこと。

三次元世界RollOverImage有

水中カメラで、渓の中を写し取るのさ。いいねぇ〜。水面が雲のようで、どこまでも透明に澄んだ渓水のなかを、アマゴたちはどんな気持ちで泳いでいるんだろうか・・・・宝石のような泡が舞う水色の世界。餌やハリもハリスも丸見えなのに、どうしてそんなものに食いつくのだろうか。でも、こんなに澄んでいるから、喰いが渋いのかもしれない。

もっと濁っていたら、さぞ釣り易いだろうと思われた。

でも、孫にも衣装ぢゃない、なんて言うんでしょう?犬も歩けば棒に当たるってんですか?違ってますかね。こんなのが釣れて来た。カッコいいなぁ〜と自分ですっかり舞い上がってしまう。いえね、別に大きくは無いんですよ。21〜21.5cmのチビといえばチビなんだけど、体のバランスが美しい。朱点も汚らしくないし、お腹のアタリもそこはかない風格が漂っている。ま、オイラの理想の魚の形って言えば良いんでしょうか?

先週もヘヴィな釣りの最後で本流との出合いで釣れたアマゴもミドリがかった、体高のある美しいアマゴだった。一尾でもこの手の魚に出会えば手が震えるのを禁じえない。

午後2時過ぎ、この崖をよじ登ったが、良く確認してみるともうちょっと渓を遡上していれば、堰堤脇に楽な退路があったやうだった。

一息入れて、お○○○などするために荷物を置いた。こんなときに、やれやれ帰れたワイと思うのはいつものことだ。

今日も一泊の釣り旅だ。いきつけの温泉に寄って冷えた体を温めてから、宿に向かった。宿にはI さんのお知り合いが待ち構えていて、二人で釣ったアマゴを提供した。

宿ではひらら焼きという料理を準備してくれていた。味噌の土手鍋でアマゴや豆腐、新じゃが芋などを煮込んだものである。こちらのアマゴは準備の都合もあって養殖モノが使われていた。

我等が釣ったアマゴや岩魚は塩焼きになった。

ピンボケ御免!

これらを肴にI さんのお知り合いの女性とメチャンコ飲んでしまった。だって、Iさんと、もうお一方の社長さんはお酒を飲まないんだもの。こんな料理を目の前にして酒飲まずにいられますかっての。

FKDのバカヤロ〜。ヒョウロクだま〜。だのと吠えながら飲むとイクラ(イラクぢゃありません)でも入る。

翌朝、5時に起きて近くの渓へ入ったが、シンドかったなぁ〜。酒を飲みすぎて釣りをしちゃいかんって、何度も反省している筈だのに・・・学習効果ってものが、この爺にはまったく期待できないのはどういうわけぢゃ!

翌朝の釣りはシンドイばかりで、間違って薄暗い谷に入ってしまって、大岩を乗り越える仕事ばかりで、その割には釣れず、チビアマゴが5尾という惨敗に終りました。

しかも、最後が悪かった。

渓から這い上がってとぼとぼと車の停めてあるところまで帰り道を歩いていた。車まであと3分と見たところだった。

このあたりは道路が崩落したので復旧工事の最中だが、日曜とて、作業は休んでいた。とある下りの小さな階段のあるところにワイヤーが巻いてあって、それが道をふさいでいる。よいしょとワイヤーを越えて階段の先に右足で飛び越えたつもりだった。ところがよ。飛び越えたはずの右足が付いて来てないではないか?

わちゃ〜という間抜けな掛け声もろとも、もんどりうって階段下の石の上に放り出されてしまった。いってぇ!体重を右ひざと左手でカバーした。久しぶりに目から火花が散ったなあ。

ウェーダーを脱いでみたら、右ひざのお皿の下が真横に2cmほど切れて出血している。マキロンでプシュ、プシュと消毒してティッシュで血をふき取って絆創膏を張った。

今日で、丸4日たった。膝の両脇の痛みはだいぶ薄らいできた。切れたところは、まだ肉が盛り上がって来ないから凹んだままだ。

今週末にはチョイ無理だなぁ〜。やはり初めての渓は用心しないといけない。それと「飲み」後の釣行は余程、気をつけないといけないなとまたぞろ反省した銀次郎でした。酔っ払いの皆様方も、もって他山の石と御気を付け召されよ!! 特に、○○○師匠、×××さん、△△△さん・・・・


2008年6月19日 木曜日


 

   
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