下駄


2006年の7月9日、高松地方は梅雨明けかと思わせる快晴になった。

前日までの湿潤で公園の緑が太陽に映え、とても美しい。

蓮の花も見ごろ。

大勢の人が望遠レンズの接写というわけで、重たい機材に三脚まで担いで花を写している。

こっちはさぼってコンパクト・デジカメだ。

商工奨励館という建物では、県の特産工芸品の製作工程を実演しながら品物を売っている。

コンサートもやっていた。

今日の出し物は沖縄民謡の弾き語りとあっては、好奇心の強い讃岐人がワンサと駆けつけていた。

工芸品売り場のはずれで下駄を展示即売していた。

その辺りだけ妙に爽やかな風が吹き抜ける。

熱気の籠もったコンサート会場から沖縄の歌が流れてくるのをじっと聴いていると、実に心地よい。

男物の下駄も最近はシャレている。

黒鼻緒に真四角で、あいつの顔はまるで下駄みたいだ!などと形容されていたものとは格段の差がある

桐で出来ていても焼を入れてから高級なワラを巻いたタワシで、炭を擦り落とす。

その上からイボタの粉を振りかけながら艶出しをするのだと言う。

近頃は町を歩いていても、下駄を履いている男を見かけることはまず無いだろう。

でも、夏になると下駄や雪駄、わらじなどの裸足に引っ掛けて履くものが恋しくなる。

靴下履いてスニーカーや革靴で歩くのは水虫にも良くなかろう。 

で、久しぶりに下駄を新調した。

職人さんの話では、新潟の五泉と言う地方の桐が最高なのだとか。

讃岐にも桐材は沢山取れるけれど、「力が無い」と言う。

中国産の桐も沢山輸入されてるが、成長が早すぎて年輪が美しくない。

人の体重を長年支えて用を足すには余りにも弱いのだそうだ。

新潟の五泉から程近い小千谷にも良い桐材があって、桐を譲ってもらって下駄を作っているらしい。

鼻緒は粋な柄のものが揃っていて、心惹かれるものが多い。

今回は江戸小紋のような模様が入ったヤツにした。

良くみると青海波の模様であると言う。

イボタで艶出しをしないと汗を吸い取らないそうで、キロ4万円もするイボタの粉を買って来て研磨に使う。

今年の夏はこの下駄履いて、全国を歩いてみたいものである。

あくまで心軽く、気楽に歩くのである。

下駄は自分の心に響くものがあり、良い飲み屋へ下駄履いて出掛けるのも良いだろうと思った。 

 


Sunday, 2006-07-09

   
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