-〆鯖-

寒に入ると、魚が旨くなってくると言うのは本当だろうか?なるほど、寒ブリ、寒ハヤ、寒スズメ(あ”、これはサカナではなかったか)などと食い意地の張った連中の視線はナミナミならぬものがある。
大寒とは申せ、この瀬戸内海沿岸で零下になるなどと、文部省は許せん!誰が温暖な瀬戸内海地方の気候に恵まれて・・・なんて教科書で嘘ついてんだ!寒くてしょうがねぇぢゃあねぇか!
そんな1月も終わりに近い日、魚屋の店先を覗いて驚いた。
旨そうな鯖が氷の中で目をむいているではないか。どうやら血抜きがしてあって、鮮度を保っているようだ。オヤジがあっち向いている隙に、身を抑えてみた。う〜む。硬く締まっている。いわゆるバリバリという奴だ。一本950円なりで買い求めた。オヤジにこれ、どこの鯖?って聞くと、セキ鯖や!と答える。嘘かもしれないと思いつつ、ああ、ほうな!と相槌を打った。さて、花のお江戸の魚屋でこれ買ったら幾らするかな?ざっと2,500円は払わねばなるまいよ。

まな板に乗せてしばらく、鯖と向き合ってみた。見るほどに見事な鯖である。
頭を落として三枚にさばく。片身は刺身、もう片身は〆鯖にしてみよう。片身には荒塩をたっぷりかぶせた。

〆る時間は、荒塩をして30分、その後酢に30分も潜らせれば冬でも十分だ。なんせ、セキの鯖で極上だからねぇ。酢に漬けてから慌てて風呂に入る。なんし、寒いのだ。体の芯から温めねばいかん。風呂に浸かっていながら、さてどんな徳利と盃でやるか!を考えている自分がなんだか恥ずかしい。食うことと飲むことしか、頭を占めなくなったらオワリぢゃ。

真ん中から奥が〆てない鯖の片身。手前は〆た鯖。デジカメでは判りませんがそうなんです。
これを食べてみると、〆鯖の方は、塩気とやや硬さを感じるが、特に腹側の身は涙が出るほど旨かったし、〆ていないほうの刺身は柔らか味の中に腰があって、これまた絶品でした!!

日本から遠く離れている方々には特に悔しがって戴きたいと思い、これからも懐かしい日本の食材を紹介したいと考えている。



   
 

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