-豚の角煮-


銀次郎、料理シリーズが好評なので、調子に乗って、ご披露することにしようか。

豚の角煮・・・・う〜む。こいつはやっぱ男の料理と言えるんではないかな?家にいて、いつも粗大ゴミか無用之介と思われている旦那方ぁ〜。こっそりこさえて女房子供の鼻を明かしてやろうではないか。

豚、バラ肉を買ってくる。量はまさに、手持ちの鍋のサイズで左右される。直径30cmくらいの厚手のアルミか鉄の鍋をお持ちなら、そうですね、1.3〜1.5kgのバラ肉を料理できる。手始めに、1.2kgからやってみるか。

角煮を作るには2日掛かると思し召せ。1日で完成させよう焦るとろくなものができないのである。

1)初日;肉屋へ行って豚のバラ肉、すなわちあばら骨を外したところについている肉を買ってくる。この肉は肉分と油脂分が層を成しているが、なるべく肉が沢山ついているところを売ってくれるようになるまで、足シゲく、なじみの肉屋へ通うことが大切だ。 肉屋の帰りには八百屋へ寄って、生姜を2〜3個買ってくる。豆腐屋があればオカラも買っておくと良いが、無くてもなんとかなる。

2)ばら肉を、そのままか、鍋に入るくらいの大きさに切る。細かく切る必要は無い。これをまず、蒸し器で30分ほど蒸す。この段階で大きな脂分を熱とともに蒸かして取ってしまおう。 次に、30cm程度の鍋に水を張り、そこへ蒸したバラ肉を入れて、なるべく小さな火でコトコトと煮るが、このときに2〜3固まりの生姜をスライスしたものと、オカラをともに鍋に入れる。水から茹でる時間は2時間〜2時間半程度である。

面倒だが、このときに鍋に寄り添って、時折鍋に浮いたアクをお玉で丁寧に掬い取ることが大切だ。しかし、2時間〜2時間半もの長い間、台所で緊張しているとヒザの裏側が突っ張ってくる。これは慣れないと結構辛い。 

3)柳箸の先が肉に比較的抵抗無く刺さるようになれば、この工程は終わりだ。ここで一晩、鍋ごと冷やすのがとても大切な要素なのである。 話は違うがサンショウウオを炊くときも、一晩冷ますそうだ。そうすることによってサンショウウオの肉が柔らかくなるそうで、一日で料理してしまおうとするととても食えた代物ではないという。

4)翌日はなるべくクールな頭で処理したい。鍋にはオカラと生姜まみれのバラ肉が丸く湾曲して、冷えた湯船に浸かっているだろう。これを、大きめのブロックに切っていく。大体、6cmキュービックくらいに切れば迫力が出る。女性が切ると、一般的にはもっと小さく切ってしまうようだ。 結構、アクにまみれているので、このようなブロックに切る前に軽く水洗いして、そうした汚れを落としておくのも木目が細かい。次の工程は味付けだ。酒7.5、醤油2.0、砂糖とみりんで0.5ほどの分量のダシを作って、鍋に入れた茹でバラ肉のブロックがヒタヒタに浸る程度まで、かぶせる。これをやはり小さな火で1時間半ほど炊く。 自分はガスレンジの最も小さい火でも、鍋がぐらぐらと湧いてしまうので、ガスレンジの上にパワートランジスタの極厚アルミで出来た放熱板を置いて、その上に厚手の鍋を置いて加熱すると実に具合の良い火具合になると思っている。 どこで放熱板なんか手に入れたのだと聞かれると困るのだが、いつぞやボストンの古い電気屋を覗いたとき、ジャンク品のハコに入っていた本当に分厚い放熱板に目を付けて買った置いたのだ。まあ、あのときすでにこの料理のことを考えていたのか!と我ながら自分の料理の才能が恐ろしい。

1.5時間ほど炊いたら、一旦火を外して、冷ますのだ。そして実際にイタダク直前に15分ほど、再度火を入れて暖め、溶きカラシを添えて戴きます。付け合せはほうれん草のゆでたものでもよし、なにも野菜が無くても良い。 

角煮にピッタシのアルコールはと言えば、やはり焼酎が一番なのかもしれないが、夏場ならビールでも良いし冬場は、日本酒にも良く合う。 バラ肉なんて、結構廉価な肉で、100g100円ちょっとだろうが、妙な牛肉なんかよりよっぽど美味だ。 ぜひ、お試しあれ。にっくき女房が泣いて喜ぶこと請け合いだ。


   
 

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