飛騨の川

披露宴が終わったからって、解放してくれるほど淡白でないのがテンカラ師たちだ。正式の披露宴が済んで直ちに川入りした猛者が多く、またまた大勢の釣師達が披露宴二次回に参加したのだった。天狗達のお話では川が大きく(水量が多いの意)釣りするどころではなかったみたい。名人・上手でも自然相手ではままならぬものらしい。


名だたる釣師、天野勝利さん経営の民宿で盛り上がる二次会。全国のテンカラ師大集合!!

天野さんの音頭で乾杯して、二次回突入だ。快活で親切な天野師。毎日の川散歩で声は大きいし、とても60ン歳とは思えぬ。 

こちらは、大野さん!お世話になりました。ありがとう。

 

翌朝、皆様とお別れして一足お先に長野へと旅立つ銀次郎でした。すんなりと信濃路へ入り込めば良かったんでしょうが、国道41号線を飛騨高山へ向かっていると、大きな橋を越えるとき、何気なく下を見下ろしたのがいけなかった。

なんとも良さそうな渓が流れているではないか?!カーナビを見ると小坂川という益田川の支流らしい。川を越えてからUターンして、小坂の町へ入っていった。

年寄りに聞く。釣り券売ってるところありますか?うん、この先にレストランやってる釣具屋があるよ。シメタ。

餌は全国共通のミミズの熊太郎を売ってたぞ。1000円也の日券を買う。この上流でアマゴ釣り大会やってますよとおばさん。

ものの5分ほど走ると、おお〜。アマゴ釣り大会らしきものをやってるノボリがはためいていた。いるわ、いるわ。5m間隔で竿が川に突き出てるぢゃないか。こりゃぁ、あかんわと、さらに上流を目指す。別にいい生活をしようと上流を目指したわけではないんですが・・・中流域に入って川を橋の上から覗き込むと、誰やらが竿を出しているのが遠くに見えた。

あの人釣り上がって来るのかなぁ〜。水は綺麗だ。

オイラはもっと、上へ行こうっと。どんどん行ったら砂利の小道になってどこへ行くんだか判らなくなってきたので、引き返す。 ふと、車止めたら片腕のおじいさんが野良仕事をやってる。すぐ誰とでも話すのがオイラの特技だ。

銀:す、すみませんが、この辺で釣り易いところへ入りたいんですけど〜。

爺:この下に金網が見えとろうよ。あそこに戸がついとるからそれあけて入れるよ。昨日も大勢来とったけど、どうやろね。

銀:ありがとうございます。ほいだら、行ってみますわ。

金網まで行って驚いた。高圧注意だとか書いてあるぞ。電流が流れているらしい。こんなのに触ってマムシの黒こげみたいになったんではいかんなぁ。で、棒の先っちょで戸をこじ開けて中に入ることにした。入ってしばらく行くと、川に出られた。

ところが、水量が凄い。ちょっと立ちこむとすぐに流されるような勢い。川岸から遡上しようにも、深くて怖い。 十投げほどで、ここは諦めた。さあ、長野へ行こうっと。電気の流れる網戸を閉めて、下流へ向かう。

と、あれっつ!左手からなんだか小さな谷が流れ込んでいるし、水量も適当ではないか!またぞろ、車を降りてウェーダーに履き替えた。 川の名前はわからないけどま、いいか。 少しづつ渓をさかのぼる。深い落ち込みがあり、美しい森になってきた。

この谷で綺麗なアマゴが釣れた。2尾だけだったけど。 

彼らを連れて長野まで行くわけにはいかん!というわけで、名残惜しいが上流の淵へ放した。しばらく、ぼんやりしていたが、すぐに流れに戻っていった。  

岐阜の川を初めて見て、感動した。とても美しいのである。これに匹敵する四国の川は?となると自信が無い。うんと山奥へ行けばそりゃ、四国だって綺麗だろうとは思う。でも、こんなにアプローチしやすい場所で、これほどの清流が流れているとは、やはり中部地域なんだと思った。本州のもっとも体高のある部分といえば、信州か美濃の国だもんな。 天野勝利さんは、夕方目の前の益田川へちょこちょこっと入ってポンポンと良型のアマゴを釣ってきて、客に料理して出すのだとか。下呂の中川栄太郎さんも同様だと、新郎の書いた本に載っていたっけ。

さあ、これで気が済んだ。まじめに長野目指して走んないと。  

 

   
 

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